希死念慮


脳死してしまい、植物状態になってしまった妹…

 

 

妹はいつも強迫観念が強く、特にお金に関する執着が病的でした。いつもお金が無くなることに怯えていて、お金の不安を口にしていた。それは、彼女の中に、お金=安心という幻が見えていたのだと思います。もしくはお金を盾にして、見たくないものを隠していたのかもしれません。

 

妹は本当に自死したかったのか?それは私も未だに正解が分からないけれど、少なくても魂自体が自殺したいとは思わないはず、ということは分かします。

 

妹は肉体と心の中にたくさんのゴミを溜めて動けなくなり、一気にリセットしようとしたのでしょうか。

 

私もうつの症状がピークに出ていたとき、そこから逃げたくて、また自分が死ぬことよりも生きていることの方が迷惑に思えて、自殺未遂を起こしたわけだけれど、「死にたい」と思ったのはそのときだけではありませんでした。

 

初めて「死」を意識したのは小学校3年生のとき。以来ずっと私は「死」に執着してきました。最近になって、それが「希死念慮」というものだと知りました。

 

この「希死念慮」とは、自殺願望とは区別されるそうですね。自殺願望は「何かから逃げたい」ために死にたい、一方希死念慮は漠然と死についていつも考えている…私の中に、この希死念慮が消えず、いつも私の観念にどっかり座り込んでいるのですが、妹はどうだったのだろうか…?

 

(※この自分の中の希死念慮の原因は何か、どうしたら消えるのかずっと考えていたのだが、最近やっとわかった。またの機会に書きます。)

 

 

話しは戻り、妹が植物状態になってしまい、医師からもう二度と意識を取り戻すことはないと言われ、私の心の整理は全く追いつかなくなりました。

 

やっと自分の落ち着ける居場所(自宅)を手に入れ、昼間の仕事ができるようになったのに、今度は妹のいる病院まで、片道二時間かけて行かなければいけなくなりました。医師の説明によると、妹は脳死したまま、意識は戻らないけれど、生命維持装置があればしばらく心臓は動いているだろうとのこと。仕事と通院の両立は心身ともに厳しく、また妹に冷たい私を、母と妹の恋人は気に入らず、罵られ、私の足は次第に妹に向かなくなりました。

 

妹の状態を口実に、私はオーバードーズと飲酒を繰り返し、仕事にも行かなくなりました。そんな状態を心配してくれていた、近所に住む男友達が、私の家を訪れては、窓を開け、食事を作っていってくれました。

 

毎日酔ってオーバードーズをしていて、意識がはっきりしていませんが、私はその友達が来ると、「私も死にたい」「子どもがほしい」ということを毎回ぐだぐだと言っていたと思います。

 

 

妹が脳死して一ケ月が経った頃、私はその友達のとの子を妊娠しました。

 

私はその友達の子、というのではなく「自分の子どもが宿ったこと」をとても嬉しく思っていました。そして彼に報告すると、彼もまた、「自分の子どもが宿った」ことではなく「これで君はもう『死にたい』とは言わないね!」と喜んでいました。

 

 

 

その日から、私のお腹の中では命が育まれ、

 

そして妹の命の灯はだんだんと消えていったのでした。